一の者

一の者、此処に眠れリ
十の者、墓訪れリ
百の花、手向けられたり
千の風、吹き渡りけり

万の者、ハンカチ噛めり
十万の、涙落とせり
百万の、石並びけり
千万の、骨乾きけり

億の星、照らしたりけり
十億の、遠き光年
百億の、宇宙の光

千億の、塵のいづこに
惜しまるる、命のあるや
一の者、此処に眠れリ




  野に

石の下、眠る骨より
樹々の声、聴こえたまふや
吹き渡る、墓苑の丘は
斬られたる、樹々の墓ぞや

武蔵野の、里の山々
今もなほ、生きて麗し
武蔵野の、里山肥やす
鳥の糞、街より来たり

今もなほ、我君を呼ぶ
護るべき、物は何ぞや
樹々もまた、美しかれど

魂は、魂を呼ぶ
命賭け、我君を呼ぶ
君が里、呼びし如くに



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